不安の多い現代では理由のない不安を感じることがあり。昨今SNSが普及し多くの人が日常的に使用している中、他人との比較で自分は不幸だと錯覚することがあり、幸せに暮らせている人でも悲観的になることも少なくありません。
私自身は登山経験に加えてアドラー心理学を知ったことで、自分の中に幸せの答えがあったことに気が付き、見えていた世界が大きく変わりました。ここではアドラー心理学の基本を解説していきたいと思います。
アドラー心理学について
1.アドラー心理学とは
アドラー心理学は、オーストリア出身の心理学者アルフレッド・アドラーによって提唱された心理学理論で、他者との関わりや社会的なつながりを重視する点が特徴です。アドラーは人間の行動はすべて「目的志向的」であり、私たちは無意識にでも自分が望む目標に向かって行動していると考えました。また、彼は「劣等感」と「優越感」という概念を導入し、これらが人々の行動に大きな影響を与えると説明しています。
彼の理論は、フロイトやユングのように過去のトラウマや無意識の力を強調するものとは異なり、「今」や「未来」に焦点を当てます。アドラー心理学は、自己責任や自己決定の重要性を強調しており、「誰もが人生を選択し、自分の力で変えられる」というポジティブな考え方を提供しています。
2.現代社会の不安感に関して
現代の社会では、特に20代、30代の若者が将来に対して強い不安感を抱くことがよくあります。経済的な不安定さ、キャリアの選択、他人との比較、SNSによる情報過多など、現代特有のストレス要因が多く存在します。「何をすべきか」「どう生きるべきか」という問いに直面することが多いですが、その一方で、明確な答えが見つからないため、漠然とした不安感に苛まれることがあります。
アドラー心理学は、このような不安に対して役立つツールを提供します。それは、自分が変わることを恐れず、目の前の問題や課題に対して前向きに取り組む力を養う方法です。アドラーは「人は環境に影響されるのではなく、環境を選択し、それにどのように反応するかを決定する」という考え方を持っており、これが不安に対処するための重要な視点を提供します。
アドラー心理学の要点
- 目的志向性
アドラーは、人間の行動が目的に基づいていると考えました。たとえば、失敗を恐れて行動しない人は、その背後に「失敗を避ける」という目的があると説明します。この理論は、行動を変えるためには、その背後にある目的を認識し、新たな目的を設定することが重要であることを示唆します。 - 共同体感覚
アドラーは「人は社会的な存在であり、他者とのつながりが幸福感を左右する」と考えました。彼が提唱した「共同体感覚」は、他者との協力や助け合いを通じて得られる一体感や満足感を指します。この感覚を高めることが、人生の幸福や成功につながるとされています。 - 自己責任と自己決定
アドラー心理学では、私たちが何かを選び、行動する責任は自分自身にあると強調されます。「他人や環境のせいではなく、自分の選択が人生を形作る」という視点を持つことで、自己変革の力が養われます。この考え方は、人生の不安感を乗り越えるための強力なツールです。
アドラー心理学が有効な利点について
アドラー心理学が現代の社会人にとって有効である理由は、まずその「自己決定」の考え方にあります。若い世代は、職場やプライベートでさまざまな選択を迫られることが多く、他人との比較や社会の期待に応えようとするプレッシャーに押しつぶされがちです。アドラーの「他者の期待に応える必要はない」という考え方は、他人に依存せず、自分自身で選択し行動する自由を認識させてくれます。
また、共同体感覚を育むことで、孤立感を解消し、職場やプライベートでの人間関係をより豊かにすることができます。アドラーの理論は、他者とのつながりを深めることが自己の成長にもつながると説いており、これが現代社会のストレスや不安を和らげる一助となります。
さらに、アドラー心理学は「自分を責めすぎない」ことの大切さも強調しています。完璧を求める現代の風潮の中で、自分自身に過度なプレッシャーをかけてしまうことがありますが、アドラーの理論では「過去は変えられない。今できることに集中する」というシンプルなメッセージが、過剰な自己批判を緩和し、ポジティブな行動に移す力を与えてくれます。
まとめ
アドラー心理学は、現代社会の不安感や迷いに対して有効な解決策を提供します。特に「自己決定」や「共同体感覚」という考え方は、将来に不安を抱える20代、30代の社会人にとって、日々の生活やキャリアに対する前向きな視点を提供します。
アドラー心理学に基づいて、具体的な行動方針を以下にまとめます。
- 他人の評価に縛られない
他人がどう思うかにとらわれず、自分が本当にやりたいこと、価値を感じることに焦点を当てましょう。自分の人生は自分のものであり、誰かに認められるために生きる必要はありません。 - 目標を明確に設定する
漠然とした不安感を感じるときは、その背後にある目的を見つけることが大切です。自分がどこに向かっているのか、何を達成したいのかを考え、それに向かって行動しましょう。 - 失敗を恐れない
アドラー心理学は「失敗を恐れること自体が失敗の原因」と教えます。失敗は成長の一部であり、それを通じて学ぶことで次に進むことができると理解することが大切です。 - 共同体感覚を育てる
他人とのつながりを大切にし、助け合いや協力を通じて自分の存在を確認することが重要です。自分が誰かの役に立つと感じることが、自己肯定感を高め、不安を和らげる力になります。
アドラー心理学は、将来の不安や迷いに対して前向きな変革をもたらす力を持っています。
人間は承認欲求の強い生き物で、これは昔から人間社会は集団で生活し命の危険から身を守ってきました。相手から認められない=仲間外れになることは生死にかかわることでした。しかし現代社会では普通に生活する中で命の危険になることはそうありません。つまり仲間外れになったからと言って生きられないわけではありません。過剰な承認欲求は捨てることが必要です。また課題の分離を提唱していて、責任の所在は誰にあるのかを考えることで、変えられるものにフォーカスし、リソースを掛けるべきです。
自分自身の行動を変えることで、未来もまた変わっていくのです。今できることを考え将来の自分につなげていきましょう。