ふるさと納税は、「応援したい自治体に寄附できる」「寄附金の控除が受けられる」「地域の特産品がお礼としてもらえる」など、多くのメリットがあって人気の制度です。ところが、2025年10月から制度ルールが変わることになり、「お得感」が薄れると感じている人も多いようです。
結論から言うとふるさと納税によってもらえるポイントがなくなってしまうこと。楽天ポイントやPAYPAYポイントといった馴染みのあるポイントが高還元率で付帯されていましたが、今後これらがなくなってしまう為、お得さが減ってしまいます。
本記事では、その内容を整理し、「どう変わるか」「利用者として何をしておくべきか」を解説します。
変更のポイント:何が変わるのか
総務省が公表した「ふるさと納税の指定基準の見直し等」によると、2025年10月からの主な変更点は以下のとおりです。
変更項目 | 内容 | 影響 |
---|---|---|
仲介サイト(ポータルサイト)のポイント還元の禁止 | 2025年10月以降、ふるさと納税を仲介するポータルサイトを通じて寄附を募る際、「寄附額に応じて利用者にポイントを付与すること」が禁止されます。これにはポイントサイト経由の還元も含まれます。 | ポータルサイトを使ってふるさと納税をしていた人は、ポイント分のお得がなくなるため、実質的な還元率が下がる。お得さ重視の寄附者にとっては大きなマイナス。 |
返礼品・地場産品基準の厳格化 | 将来的には(特に2026年10月以降)、返礼品の原材料の産地(地場産品)をより厳しくする、加工品や付加価値の基準を明確化するなどの見直しが予定されています。 | 人気の返礼品や地元以外の原材料を使っていたものが対象外になる可能性。選べる返礼品が減る/返礼品の質や量に影響が出る自治体も出てくるかもしれません。 |
返戻率(返礼品やポイントを含む実質還元率)の実質的引き下げ | ポイント廃止で、寄附者が受け取る「価値」が下がる。さらに返礼品自体のルール強化が加わるため、返礼品の種類や内容が制限される方向に。 | 「どれだけお得か」でふるさと納税を選んでいた人にとって、メリットが減少。特に高還元をうたすキャンペーンなどが使いづらくなる。 |
なぜこの変更が行われるか:制度見直しの背景
変化には背景があります。主な理由は以下の通りです。
- ポイント還元競争の過熱
仲介サイト間で“ポイント還元率”を高め合う競争が激しくなり、本来の「地域への応援」「寄附」の目的から外れた“お得さ競争”が目立ってきたという批判があります。 - 返礼品の過度な豪華化・返戻率の問題
地場産品でない素材を使った返礼品や、返礼割合が高すぎる例、換金性の高いもの(商品券・電子マネー等)が含まれる返礼品などが問題視されています。制度の上限(返礼品の価値は寄附額の3割以下)を逸脱するような例もありました。 - 自治体の手数料負担・公平性の確保
ポータルサイトへの仲介手数料や宣伝費などが掛かるため、それが寄附金の“本来使われるべき分”を圧迫している、という見方もあります。制度全体で「使い過ぎのお得キャンペーン」を抑えることで健全性を高めよう、ということ。
いつまでなら「旧ルール」のお得が使えるのか
- ポイント付きのキャンペーンなどは 2025年9月末 までが対象期間。9月末までに寄附を完了すれば、現在のポイント制度やキャンペーンの恩恵を受けられる可能性があります。
- ただし、人気の返礼品は駆け込みで在庫切れになることが予想されるため、希望のものがあれば早めに動いた方が安心です。
利用者としての対策・おすすめ
「改悪」と言われてしまっても、制度そのものがなくなるわけではないので、賢く活用する方法があります。
- 9月末までにふるさと納税を済ませる
上で述べた通り、お得なポイント還元やキャンペーンを活かしたいなら、この“駆け込み”期間を有効に使いましょう。 - 返礼品の選択肢をリストアップしておく
人気が集中すると在庫切れや配送遅延が起こるので、欲しい返礼品を早めにチェック。自治体やサイトなど複数の候補を用意しておくと安心です。 - 控除上限額の把握
年収・家族構成から控除可能額をシミュレーションして、自己負担にならない範囲で寄附するように。お得感を追い求めすぎて、控除を超える寄附をしてしまうと逆に損になることもあります。 - クレジットカードのポイント活用
仲介サイトのポイント付与が禁止されても、クレジットカード支払いで貯まるカード会社のポイントやマイルは対象外(=今までどおり)になる見込みです。決済手段を工夫することで多少の補填は可能。 - 返礼品の「価値」を重視する目を養う
豪華さや宣伝・キャンペーンではなく、実際にほしいもの・使うものを選ぶ。地場産品や地元との関わりのあるものの方が、改正後も残る可能性が高い。
結論:お得さは減るが、本質は残る
2025年10月からの改正によって、ふるさと納税は「ポイント還元あり+キャンペーン盛り盛り」の時代よりは“お得感”が薄くなるのは間違いありません。多くの人にとって、寄附先を選ぶ基準が「返礼品の豪華さ」だけでなく「地域性」「返礼品の中身」「納税先の応援したい目的」など本質的な部分に戻る局面になるでしょう。
とはいえ、制度のメリット(住民税・所得税の控除、返礼品、地域貢献など)は変わりません。改正後も制度をうまく使えば十分お得な制度です。
改正後もおすすめの返礼品
1. お米・肉・魚などの「日常消費系」
改正後も安定して人気が高いのは、やはり毎日の食卓で使える食品です。
特に 米・牛肉・豚肉・鶏肉・鮭・うなぎ といった日持ちする食品や冷凍保存できるものは、控除額の枠を有効に使いやすいジャンル。
- 家計の節約に直結
- 必要なタイミングで消費できる
- 家族みんなで楽しめる
「お得さ」より「実用性」で選ぶと、改正後も十分に価値を感じられるでしょう。
2. 加工品・保存食(レトルト・冷凍食品)
改正で返礼品の基準は厳格化されますが、地場産食材を使った加工品は引き続き提供可能です。
- ご当地カレー・ラーメン
- ソーセージやハム
- 冷凍餃子・冷凍ピザ
- 缶詰・瓶詰
これらは保存性も高く、「忙しい日の夕食」「非常時の備蓄」にも役立つため、家計の強い味方になってくれます。
3. 果物・スイーツ(旬の楽しみ)
フルーツ王国と呼ばれる自治体も多く、シャインマスカット・メロン・さくらんぼ・みかんなどは引き続き大人気。
また、果物を使ったスイーツ(ゼリー・アイス・ジャム)なども、改正後も魅力的なラインナップが残る見込みです。
- 季節ごとの楽しみがある
- 贈答用にも使える
- 家族のご褒美になる
4. 地場産業を活かした「日用品」
食品だけでなく、地域の伝統工芸や日用品も注目です。
- タオル(今治タオルなど)
- 包丁・キッチン用品(燕三条など)
- 陶器・漆器
- 家具や木工製品
これらは長く使える「モノ」としての価値があり、改正後の「地場産品基準強化」にも合致するジャンルです。
まとめ:改正後は「生活必需品」と「地域性」に注目
2025年10月以降の改正で、ポイント還元などのお得キャンペーンは消えます。
そのため、**「いかに生活で使えるか」「地域の魅力を感じられるか」**が、返礼品選びの大きなポイントになっていきます。
改悪と呼ばれる制度変更ですが、選び方次第で「お得+満足感」を十分に得られるはずです。ふるさと納税は住民税の先払いで返礼品をいただく制度であることが理解できればポイントの有無はおまけとして割り切り、本来の恩恵を受けられることには変わりありません。制度を利用している人としていない人の違いでは大きな節約の差が出ています。還元が受けられなくなってしまうことは残念ですが、それでもお得な制度を利用し、賢く楽しく節約していきましょう。